『都市の写真?』

写真家・西野壮平の作品集「Diorama Map」は、世界中の都市をそれぞれに写し出した写真です。
http://global.canon/ja/newcosmos/gallery/selected-artists/sohei-nishino/index.html

写真には、「東京」、「パリ」、「ニューヨーク」など都市の名前が付けられていて、一見上空から撮影された俯瞰の風景写真のように見えます。
しかし、よく見ればそうではないことにすぐ気付きます。
西野壮平が世界中の都市を歩き回り、さまざまな視点で撮影した無数の写真を張り合わせて作ったコラージュ写真なのです。
それが上空から撮ったジオラマ写真のように、あるいは地図のように見せかけられています。
いわば各都市の現地で過ごした時間やその体験が、一枚の作品となって立ち現れているかのようです。

西野は撮影のために都市に入ったら、ローカルな場所に身を置き、ローカルな人とコミュニケーションをとり、とにかく歩き回るそうです。
「Diorama Map」では、人々に共通する認識のようなものと、西野の個人的な経験の積み重なりを一枚の「地図」にすることによって、流動的な都市の姿を描き出そうとしているとのこと。
例えば東京をイメージしたときに、グーグルマップのように正確で詳細な地図を思い浮かべる人はいないはずで、そこで自分がどういう経験をしたかによって、認識というものは違ってきます。
つまり人の数だけ都市の経験や記憶があり、それが集合体となってひとつの共同意識のような都市を形造る、と語っています。
一見ひとつの都市のようで、よく見ると繋がっていない切り貼り写真というところに、そのコンセプトが上手く表現されています。

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