『デンマークの失われた城』

デンマークにはかつて300あまりの城があったことを知っている人はあまりいませ
ん。
今では失われてしまったそれらの城の発掘プロジェクトに密着した写真家がいます。
彼の名は、ピーター・H・エリクセン。
エリクセンが捉えたのは、さまざまな技術を駆使して現場で奮闘する、科学者と考古
学者の姿でした。

デンマークが現在のように北欧デザインの国になる前、そこには戦争の時代がありま
した。
中世のころには、一時300あまりの城が国の隅々まで散らばり、一般市民をヨーロッ
パ近隣諸国の戦火から守っていたそうです。
こういった城は現在ではひとつも残っていなく、城について知られていることは多く
ありません。
城の多くは1300年代初頭に建てられたもので、個人所有だったそうです。

2014年、10の博物館から集まった科学者と考古学者の専門家たちが、デンマークの失
われた城を探し出すべくグループを結成しました。
彼らは目ぼしい場所にあたりをつけると、城の存在を確かめるために金属探知機、ド
ローンなどといった武器を装備し、探検に出かけました。
ピーター・H・エリクセンは、プロジェクトの第一歩を撮影するために同行していま
した。

研究チームはまず、現地からできる限り多くの情報を集めました。
ある人は、地形の複雑な3Dマップをつくるためにドローンを飛ばして数百枚もの写真
を撮り、またある人は硬貨などを見つけるために金属探知機を持ってあたりを歩き回
りました。

エリクセンは自身のスタジオで、人形やサイコロ、古い小麦挽きといった出土品を黒
い背景をバックに撮影することもありました。
微細なものから非常に大きなものまで、あらゆるスケールで証拠を集めていき、歴史
のかけらを組み合わせるためには非常に重要な鍵となっていきました。

2年間の努力の末、研究グループは4つの城を発掘したそうです。
エリクセンの写真からは、歴史を掘り起こすために必要な、信じられないほどの精密
さや熱心さを見てとることができます。

撮影機材・LED照明の専門店

『ネバダ砂漠のソーラーパネル』

太陽の光ではなく、その熱を利用する「太陽熱発電」。
アメリカのヴェンチャー企業が開発を進めるソーラープロジェクトは、砂漠の真ん中でその自然に溶け込み、新たな美しい景観を生み出しています。
その「発電所」は、ラスヴェガスとリノの中間の砂漠地帯にあるトノパー郊外に位置しています。

約200万坪の砂漠を埋め尽くす、10,347枚もの反射鏡。
これによって、この発電所は75,000世帯分の電力を生み出しています。
各反射鏡は幅約11m、高さ約7mもの大きさで、太陽の動きに合わせて自動で動きます。
そのあまりにもバカでかいスケールは、まるで無人の都市のような不気味ささえ覚えます。

そして数年前、写真家のルーベン・ウーは、ニューヨーク発サンフランシスコ行きの飛行機に乗っていたときに、初めてその「発電所」を目にします。
砂漠の中にとてつもなく壮大に広がるソーラーパネル群。
その時の様子を、「あまりに明るく輝いていて、まるで太陽のようでした」とウーは振り返っています。

そして今年3月、ついに彼はこの場所を訪れます。
その輝く光が最も素晴らしく、反射鏡が太陽と一体となって最もドラマチックな光景になる夕暮れと明け方を狙い、撮影を行ないました。
その撮影の間、彼の耳に聞こえていたのは、ソーラーパネル群をすり抜ける風の音だけだったそうです。

太陽に向かって追随するソーラーパネルの一群を、彼はタイムラプスで撮影しました。

撮影機材・LED照明の専門店

『時代と逆行する照明』

さまざまなライトを開発しているメーカー「Wicked Lasers」はこれまでに、ライトセーバーみたいなレーザー「Spyder III Pro Arctic」や、世界最強のフラッシュライト「FlashTorch」など、手に持てる光の限界に挑戦してきました。

なかでも、「FlashTorch Mini」は、懐中電灯でありながら、その圧倒的な高出力により生み出される熱量ゆえに発火具としてさえも利用できるライト。
つまり紙に火をつけられるほどハイパワーなライトなんです。
時代はLEDで省エネが前提の世の中だというのに。

PVが公開されています。

2,300ルーメンという脅威の出力のおかげで、火をつけたり料理をする能力を有しています。
ちなみにこの明るさは、大きな講堂で使用されるプロジェクターの光と同等のものだそうです。

ただし最大の明るさでは、30分程しかバッテリーが持たないそうです。そりゃそうですよね。
出力を下げて明るさを調節すれば最大100分使用できるとのこと。

撮影機材・LED照明の専門店

『暗闇の公園遊具』

夜の公園に佇む個性的な形をした遊具の数々。
暗闇のなかで丁寧にライティングを施されたその姿は、どこかチャーミングで魅力的です。
と同時にこれら遊具は、地域の人々の記憶が詰まった「モニュメント」でもあります。

誰もが幼いころ、こうした遊具で遊んだ記憶があることでしょう。
大人になるにつれ公園で遊ぶ機会は減っていきますが、改めて見ると、どの遊具も個性的な姿をしていることに気づかされます。

この作品「公園遊具」をつくった写真家・木藤富士夫氏は、かつてはデパートの屋上につくられた遊園地を撮影していました。
さまざまな屋上につくられていた遊園地は、レトロな魅力を備えていたのですが、時代が進むにつれて多くが閉鎖されています。
被写体を失った彼が次に目をつけたのが、公園に設置されたレトロでチャーミングな遊具でした。

http://fujio-pand-park.tumblr.com

夜の公園でライティングを施された遊具は昼間とは別の顔を見せています。
形状やテクスチャーが際立ち、ところどころペンキが剥げ落ちた姿は、その遊具が歩んできた歴史を感じさせます。
ただの遊具ですが、何かを語りかけてきているようにも見えてきます。

そんな公園の遊具も、老朽化にともない撤去されるものが増えているそうです。
近年は、とくに高齢者向けの健康器具と取り替えられることもあるそうで、少子高齢化の時代を見事に反映していますね。
この作品は単なる遊具カタログではなく、遊具と人々の記憶を丁寧に保存していくプロジェクトだとも言えます。

撮影機材・LED照明の専門店

『都会の明るさと星空』

大自然の中に身を置いて、空を見上げると何億兆もの星が空一面に輝いている、そんな素敵な体験あるでしょうか。テレビとかではよく見ますけどね。
都市部にいると、照明の明るさでなかなか綺麗な星空を見ることは出来ません。
少しでも街灯などの明るさがあると、そんなにきれいに見えないのが現実です。

都市部の人工的な照明は、これはこれで上から見下ろすと素敵な夜景だったりしてとても良いのですが、同時に様々なマイナス面の影響もあるようです。
それを「光害」というのだそうです。
Wikipediaによると、「光害」とは「過剰または不要な光による公害のことである。
夜空が明るくなり、天体観測に障害を及ぼしたり、生態系を混乱させたり、あるいはエネルギーの浪費の一因になるというように、様々な影響がある。」とのこと。

それでは、光害のレベルの違いでどのぐらい星空に影響があるのでしょうか?
という疑問の答えが、星や夜空の写真を撮るフォトグラファーのSriram Murali氏によって示されました。

彼は、夜天光の明るさを測るための9段階の数値スケール「ボートル・スケール」を使用しました。
クラス8から9は、都市部の空を示します。
例えばネオンギラギラ&自動車の排気ガス等の汚染物質が空気中に大量に存在する状態の空です。
数値が減ると光害も減っていきます。
クラス5は、郊外の空。
クラス3は、田舎の空。
クラス1は、これ以上ないぐらい光害フリーな状態です。

Sriram Murali氏が撮影した、光害レベル・クラス8からクラス1までの星空を以下の動画でご覧ください。
夜景もたしかにキレイですが。
だんだん癒し映像に変化していくのが面白いですね。

撮影機材・LED照明の専門店

『動画撮影後にピント調整ができる技術』

どれだけカメラの性能が高くなっていっても、致命傷なのが「ピントのズレ」ですよね。
対象物がボケていては見るに耐えませんし撮影後の修正も利きません。
そんな自分の技術の無さを棚に上げがちな昨今、HITACHIから、動画撮影後にピント調整ができるレンズレスカメラ技術が開発されました。

後からピント位置を変えられるカメラといえば、すでに「LYTRO」などが登場しているのですが、特殊なレンズを要するため、大きく厚みがあることが難点でした。
一方、レンズをなくすことで薄型軽量化を実現するレンズレスカメラも開発されていますが、このカメラで撮影する画像の処理には多くの計算が必要であり、性能に難点がありました。

しかし日立の新技術では、薄型軽量のレンズレスカメラでありながら高性能で、ライトフィールドカメラのように撮影後のピント調整機能を合わせ持つのだそうです。

この技術では奥行き情報も画像センサーに記録しているので、後から「任意のピント位置で動画を再生」できるとのことです。

レンズレスということは、カメラを薄型軽量化できるということですよね。
つまりスマホに搭載されることを想定しているはずです。
まだ技術の開発のみだそうなので、どういう風に製品化されるのかは今後のお楽しみです。

撮影機材・LED照明の専門店

ドローン撮影の桜

あっという間に東京では桜の見頃を迎えました。
寒の戻りはあるものの、街のあちらこちらで今年も美しい桜が咲き誇っています。
さて、この日本人にとっては非常に大切なこの時期、ドローンで撮影した桜の写真が世界に広がりました。それはおなじみの目黒川の桜。普通に撮っても美しい川沿いに密集して咲く桜。それをドローンで上空から撮影すると、まさに花道。圧巻の美しさに日本人ならずも唸るような美しい写真です。

このドローンで桜の撮影をしたのは広告プランナーとして働きながら、ドローンフォトグラファーとして活躍されている花田礼さんという方。

目黒川の桜のドローン撮影写真は海外での情報サイトなどにも掲載され、twitteerでは26万強の「いいね」がクリックされています。驚嘆と共感、そして一般には撮影できないドローン撮影という技術の素晴らしさへの羨望も発見もあるでしょう。

ドローンフォトグラファー、花田礼さんのインスタグラムでは各地空撮撮影がアップされています。
フォロワー数11.3千人。季節折々、雪景色もあれば鮮やかな紅葉、山あいの曲がりくねった道路や折り重なるように続く環状道路などなど、上空から見るとこんな風に見えるんだ、という驚きの連続です。ちょっと真似はできない撮影写真ですが、その分一枚一枚じっくり見入ってしまうインスタグラムです。
この方のドローン写真集も手にとって見てみたいですね。

撮影機材・LED照明の専門店

さくらさくら

世界広しといえども、さくら開花予想、前線情報があるのは日本だけでしょう。
この時期に日本を訪れた外国人は、どこにいっても美しいさくらの白い花が咲いていて、さくらの木の量に驚くようです。
三寒四温でもさくらの予報が出始めると、それだけでうきうきしてきます。
毎年のことだけれど、あっという間に満開になって葉桜になるまでの短く貴重な時期は見逃せません。今年もお花見、スマートフォンからコンパクトデジカメ、一眼レフとそれぞれのスタイルで主役のさくらにフォーカスする人々の姿を見る季節がもうすこしです。
いくら撮影しても飽き足らないさくら。
主役はさくらなので日中の撮影はもちろん自然光。趣向を凝らして光の変化を利用した撮影はいかがですか?
朝の太陽光と、日が上昇した正午あたり、赤みを帯びた夕方の光では随分さくらの表情が変わります。
そして自然光の時間を過ぎた、夜のライトアップされた夜桜も魅力的です。
毎年変わらないさくらの開花、それに関わらず情報は増えて検索しやすくなってきてるようです。
東京では区別はもちろん、さくらの種類、さらにはライトアップ有無の情報まで。
撮影の目的に合わせてお花見の場所を探すのも、ちょうどいい時期ではないでしょうか。

撮影機材・LED照明の専門店

ラジオで聴く写真家のはなし

先月、木村伊兵衛写真賞を受賞された岩根愛さん。
受賞後、さまざまなメディアに取り上げられたり、またトークイベントなどそのご活躍ぶりをいろいろ目にするこの頃です。
先日、ラジオのゲストに迎えられ、初の写真集「KIPUKA」までの道のりの話を聴くことができました。どうやって写真家になっていったのか、その経緯や、ハワイと福島がどうやって繋がったのか、そして撮り続けた原動力や関心はどこにあったのかなどなど。紙面のインタビューなどと違ってラジオでのゲストトークってビジュアルがない分、話す声色やスピード、ラジオパーソナリティとの掛け合いなどで、ダイレクトに伝わったりすることがありますよね。
今回聴いた岩根愛さんのゲストトークがまさにそうでした。

さて、そのラジオとは久米宏さんがパーソナリティを務める「ラジオなんですけど」という番組です。毎週ゲストコーナーが設けられていて、さまざまな業界のさまざまな職種の方のお話がある番組ですが、4月13日のゲストが岩根愛さんだということで、これは!と思った回でした。
ああ、もうすぎた放送かあ、と思ってる方、大丈夫です。アーカイブがありますから。

放送終了後の様子とともにHPにゲストの様子の写真もアップされ、音源を聴くことができます。
最後の部分にゲストの感想があるのですが、そこに「久米さんがおっしゃったように、私が福島をハワイと結びつけたんじゃなくて、まずハワイがあってそれが福島と結びついたので、そこを読み解いてくださってありがとうございました」という箇所があります。
放送中にお二人の会話で発せられることなのですが、こちらも聴きながら、ああそうか!と思ったものです。
34分強の聴きごたえのある写真家のお話、いかがですか。

撮影機材・LED照明の専門店

『色鮮やかなボートの写真』

ギリシャには「カイキス」と呼ばれる、漁のための小型ボートがあります。
「カイキス」は木製で、色彩豊かに塗装されています。
漁師はそのボートに乗って、地中海に向かって網を投げ込みます。
そんな風景は、古代建築と豊かな文学、素晴らしい食事と並ぶ、ギリシャの代え難い遺産のひとつです。

「カイキス」は、5000年近く前からギリシャの伝統的な造船術によってつくられてきましたが、時代の変化とともに今日では継承者が減りつつあるそうです。

そんな「カイキス」とその暮らしぶりを写真集にまとめた人物がいます。
写真家クリスチャン・ステンパーの「Lupimaris -Wolves of the Sea」す。

http://www.lupimaris.com

この写真集には、99枚の伝統的な木製ボートの写真や、漁師とその日の収穫の写真が掲載されています。
ステンパーは20年前にギリシャのパロス島を訪れ、漁師と彼らのボート、そしてそのゆったりとしたライフスタイルに魅了されたそうです。

彼はキヤノン「5D mark II」を伸縮する台に取り付け、7mのジブクレーンを用いて真上から「カイキス」を写真に収めます。
ステンパーは「カイキス」を守る価値のある宝として紹介しています。
2010年にプロジェクトを始めて以降、写真に収めたボートの3分の1は売却されるか解体されてしまったそうです。
木造の造船術はプラスチックボートによってその地位を追われ、大型の産業漁業の発達によって伝統漁を廃業する漁師も多いと言います。

ステンパーが「Lupimaris -Wolves of the Sea」で伝えたいこととは、かつて根付いていた暮らし。
時間がゆっくりと流れ、人々にはそれを楽しむ余裕もある時代。
この作品は、現代の慌ただしいライフスタイルにおいて、ふと立ち止まって考える時間を与えてくれるのではないでしょうか。

撮影機材・LED照明の専門店