この秋、11月にライカのM6がよみがえって発売されるというニュースが駆け巡りましたね。
ライカM6は今からおよそ40年前の1984年から2002年にかけて約17万5000台が製造されライカのアイコン的存在のモデルです。
近年のフィルムカメラ人気再燃、若い世代からのニーズに応える目的でこのカメラの復刻に至ったそうです。
当時のオリジナルM6を忠実に再現しながらもトップカバーの材質や各パーツの表面コーティング、露出表示など2022年版としてアップデートされています。
M型カメラの最新作がフィルムカメラ、というのがフィルムカメラファンにはたまりませんね。付属ケースに収められたその美しい姿!
といっても発売されたら即購入できるような値段でもありません。
日本では748,000也。円安の影響は受けるのかなと思ってユーロで見てみると大体換算されている通りの値段です。本国ドイツのサイトと同じユーロでもイタリアのサイトではほんの少し値段の差異があるのが気になりますが。
製造過程が手作業ですからね、この価格。
それでも世代を超えて受け継ぐことのできるカメラの魅力はやはり尽きません。
M6の製造過程の動画が英語音声ですがこちらで見られます。
美しいカメラはその製造過程も美しくて、ちょっとため息が出ちゃいます。
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月: 2022年10月
やっぱり先をいくダイアン・ハースト
先日10月11日、ちょっと衝撃的なニュースがありましたね。
ロンドンのニューポート・ストリート・ギャラリーにてダミアン・ハーストが自身の作品1000点を焼却するというライブパフォーマンス。ハースト自身が燃え盛る暖炉の火に作品を入れて焼却する様子の動画も流れました。
これは1年前にダミアン・ハーストが立ち上げた新しいNFT(Non-Fungible Token 非代替性トークン)のプロジェクトで、「Currency 通過」と名付けられた作品です。ハーストの代名詞のようなカラフルなドットが描かれたA4サイズの作品を1万点を制作、紙幣のように個別のメッセージが施されて偽造防止をしたこの作品は物質的なそのものの作品ではなくNFTとして販売され、1年後の今年2022年に購入した所有者は物質的な作品またはデジタルとしての作品どちらかを選択しなければならないという、まさにアートの価値について投げかけたプロジェクトでした。
結果は5149人が物質そのものの作品を選んで、4851人がNFTを選び、そのため4851枚の作品を焼却することになったのです。
アートのデジタル化、考えさせられます。
10月11日にまず1000枚が焼却され、展覧会の会期10月30日まで毎日決まった時間に焼却されるそうです。公式インスタグラムでもみることができます。
30年の軌跡展
昨年惜しまれて最後の公募を終えた「写真新世紀」。
その30年間の文化支援プロジェクトの歩みを振り返る「写真新世紀30年の軌跡展」が東京都写真美術館で開催されます。
歴代受賞者の中から一般投票で選ばれた10名の受賞作品展、そして2021年度グランプリ受賞者の新作個展が展示内容です。
さて、その一般投票で選ばれた10名とは:
青山裕企(2007年優秀賞)
新垣尚香(2005年優秀賞)
大森克己(1994年優秀賞)
奥山由之(2011年優秀賞)
澤田知子(2000年特別賞)
高島空太(2016年優秀賞)
中村ハルコ(2000年グランプリ)
蜷川実花(1996年優秀賞)
長谷波ロビン(2012年優秀賞)
浜中悠樹(2012年優秀賞)(敬称略)
選ばれた写真家の名前とその受賞年を見るだけでもなんだか感慨深いですね。
そして関連イベントも興味深いです。
10月16日には出展者によるトークショー、11月5日には大森克己氏、佐内正史氏(1995年優秀賞)、奥山由之氏、三者によるトークショーがあります。11月6日には飯沢耕太郎氏と南條史生氏によるトークショーと野口里香氏(1996年グランプリ)による写真レクチャーがあります。
写真展もイベント参加も入場無料です。イベントは定員があります。
10月16日のオープニングが待ち遠しいです。
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コンポラ写真の代表的作家
渋谷PARCO 8階のギャラリースペース「ほぼ日曜日」にて牛腸茂雄氏の写真展「はじめての、牛腸茂雄。」が開催されています。
牛腸茂雄氏といえば1994年に発売された「SELF AND OTHERS」が写真を勉強する学生にも写真ファンにも語り継がれている写真集があります。
コンポラ写真の代表的な作家といわれる牛腸氏ですが、「SELF AND OTHERS」の双子の女の子の写真など一度見たら忘れられないほど強く印象を残します。
牛腸氏は幼少に患った病気と闘病し1983年に36歳の若さで亡くなっています。桑沢デザイン研究所で同級生だった写真家の三浦和人さんのインタビューが2016年にほぼ日刊イトイ新聞にて掲載されました。そこで牛腸さんのひととなりを伺えることができます。
今回の展示で約100点の作品が展示されますが、その中の1995年撮影のじっとこちらを見る可愛らしい女の子の写真がありますが、実は漫画家でイラストレーターのしまおまほさんだという、驚きの話もこのインタビューに載っています。
(https://www.1101.com/gocho_miura/2016-11-24.html)
この写真展の特徴のひとつはこの展覧会のために三浦さんご自身がプリントし、そしてアクリル板なしで展示されるということです。
牛腸さんのフィルムや関連資料を保管されている三浦さんの快諾があって実現しているそうです。
そしてもうひとつ「ほぼ日」らしいのは、案内人役をギャグ漫画化の和田ラヂヲ先生が担当されるという点です。
一見難解に思えてしまいそうな写真展を和田ラヂヲ先生を通して作品を鑑賞できるという企画が面白いですね。
ラヂヲ先生が描いた双子の女の子のイラストなども味深く、展覧会のオリジナルグッズとして販売もされています。
まさしく「はじめての、牛腸茂雄。」写真展。11月13日までです。
6年ぶりの大規模個展
東京オペラシティ アートギャラリーにて10月から始まる川内倫子さんの個展開催概要が発表されました。
2016年に熊本市現代美術館で開催されて以来6年ぶりの個展、しかも大規模個展です。
タイトルは「M/E 球体の上 無限の連なり」です。
「M/E」とはMotherとEarthの頭文字、つまりは「母なる大地」そして「私 Me」という意味もあるそうです。
2019年にアイスランドで撮影した氷河や雪景色、そしてコロナ禍での日常の風景など未発表作品を交えて構成される展示会場は、建築家 中山英之氏が空間設計を手掛け、川内さんの連載エッセイにて中山氏とチームについてそのプロフェッショナルさを讃えているほどです。大規模な展示の空間設計がいかに大切なことか伺えます。
直近の約10年の活動に焦点を当てて展示され、2016年に出産され母になられた時間も多分にあり、作品に繋がり、作家の感性にあらためて触れられるのが楽しみです。
10月8日から12月18日まで開催され、その後川内さんの出身である滋賀県にて巡回されるというのもいいですね。
会場は滋賀県立美術館、会期は2023年1月21日から3月26日です。
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