ロー・ポジションとロー・アングル

海外でも人気と評価が高い小津安二郎映画。
名作は白黒からカラー映像まで様々ですが、今観てもなお古さを感じさせないのは日本人ならではの「美」と「生活」が垣間見れるからかもしれません。
反対に、現在の日本では薄れてきている「家族のかたち」や「つながり」を再発見することもあります。
さて小津映画が海外で人気なのは日本美がゆっくりと映し出される魅力のみならず、小津映画の特徴的な画面構成、画角、構図も特徴的だからと言われています。

有名なこの小津式はカメラの位置が低いことです。
「小津のローポジション」と言われるのはこのゆえ。ローポジションとはカメラを構える低い位置を表します。ちなみに高い位置で撮るのがハイポジションで一般的な映画やドラマでの撮影位置が目の位置にあたるアイポジションです。
このローポジションと混合するのが、ローアングル。
ローアングルは低い位置から被写体をアオリ気味に見上げて撮影する技法のことです。
小津のローポジションは多少なりとも上向きはあるものの、あくまでも低い位置でカメラを設置し撮影したローポジションです。
この撮影方法は日本人の生活スタイルである、日本間、畳の日本式家屋と、正座をすると低い位置に配置される人物を最適なポジションで構図するという効果を生みました。

テーブル、椅子での生活スタイルの欧米とは人の生活の高さ自体が違ったんですね。
美しさを追求した映画監督の撮影方法が現在でもその映像によってみることができます。
映像と写真では違いますが、視点となる「絵」には共通点がたくさんあります。こんな風に映画から写真撮影のヒントを得るのも素敵なことです。

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