質感と演出

個人的な話で恐縮ですが、前回触れました、背景の布地の話。
写真撮影と布の関係をお話すると、2005年のワールド・プレス・フォトの一枚を思い出します。
2005年というと近年ではなく、これまた共通ではない話題ではなく恐縮ですが、女優シャーリーズ・セロンを撮影した一枚の白黒の写真がありました。
それはとてもシンプルな写真で、シャーリーズ・セロンの肩から上の、ほとんど顔アップの写真で、顔を含めた頭部全体に透過するシフォンのような布で覆われています。
引き延ばされたそのプリントは、フィルムの荒さが見て取れるものでしたが、かえってそれが質感を強調し、生々しいように感じられました。

見せる被写体にわざわざ布で覆って撮影する。
これって、ファッションなどモード系な写真撮影に利用できるひとつのテクニックですが、このシャーリーズ・セロンのポートレートは、白黒フィルムとざらつき感が被写体の強さを引き出した一枚でとても印象的でした。

広告写真や、その時代のコンテスト写真などから、実施に写真撮影のセッティングをする際にヒントを得ることってあったりしますよね。
また反対に、印象が強い写真は、何が違うのか?といった見方で写真を見てみるのも興味深いものです。

みなさんは写真撮影の為に、セッティングを考える際に思い出す一枚の写真ってありませんか?

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