『暗闇の公園遊具』

夜の公園に佇む個性的な形をした遊具の数々。
暗闇のなかで丁寧にライティングを施されたその姿は、どこかチャーミングで魅力的です。
と同時にこれら遊具は、地域の人々の記憶が詰まった「モニュメント」でもあります。

誰もが幼いころ、こうした遊具で遊んだ記憶があることでしょう。
大人になるにつれ公園で遊ぶ機会は減っていきますが、改めて見ると、どの遊具も個性的な姿をしていることに気づかされます。

この作品「公園遊具」をつくった写真家・木藤富士夫氏は、かつてはデパートの屋上につくられた遊園地を撮影していました。
さまざまな屋上につくられていた遊園地は、レトロな魅力を備えていたのですが、時代が進むにつれて多くが閉鎖されています。
被写体を失った彼が次に目をつけたのが、公園に設置されたレトロでチャーミングな遊具でした。

http://fujio-pand-park.tumblr.com

夜の公園でライティングを施された遊具は昼間とは別の顔を見せています。
形状やテクスチャーが際立ち、ところどころペンキが剥げ落ちた姿は、その遊具が歩んできた歴史を感じさせます。
ただの遊具ですが、何かを語りかけてきているようにも見えてきます。

そんな公園の遊具も、老朽化にともない撤去されるものが増えているそうです。
近年は、とくに高齢者向けの健康器具と取り替えられることもあるそうで、少子高齢化の時代を見事に反映していますね。
この作品は単なる遊具カタログではなく、遊具と人々の記憶を丁寧に保存していくプロジェクトだとも言えます。

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