飲み物撮影 2

前回に引き続き、意外に難しい飲み物の写真撮影についてみていきましょう。
飲み物撮影の際にポイントとなるのが、湯気のある料理撮影の対になる、水滴がついたような「冷たい飲み物」というテーマがありますね。
料理の写真撮影のお話の際に、何度か湯気の撮り方ということをお話ししましたが、今回はいかに「冷たい飲み物」を美味しそうに撮影するかということを考えてみましょう。

料理の写真撮影というのは、実は化学に近いような分野なのです。
最近はドラマや映画製作でもフードコーディネーターなる職業の方々がメディアでも取り上げられるため一般になってきたかもしれません。美味しそうな写真や映像の裏には、撮影するためには写真機材だけでない力が発揮されているということが知られるようになりましたね。

今回のテーマでもある「冷たい飲み物」の撮影でも、食品を撮影するにあたっていろいろな工夫がされています。まず水滴のついたグラスですが、実際に冷たい飲み物を室温の中でグラスに注ぐと水滴ができますが、この自然な水滴、キレイいや「美味しそう」に撮影するのは難しくて、実際には霧吹きで水滴をつくります。またよく言われるのはビールのような炭酸の泡を撮影するには塩を入れてかき混ぜたり、泡を作る錠剤を液体の中に入れたりといった裏技があります。
撮影までの過程をみていくと、つくり込まれた感じはありますが、実際に「おいしいもの」と「おいしそうなもの」では伝える媒介によって限りがあるため、いかに「美味しそう」に見えるように伝えるのが課題になってきます。既存のテクニックのみにとらわれず、こんな風に工夫した美味しそうな飲み物が撮れた。といったアイデアもとても大切です。独自の方法を探すのも撮影段階の発見かもしれません。

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飲み物撮影

ブツ撮り、商品撮影は、それぞれ被写体の特徴によって難しいポイントは違います。
そのため、撮影する被写体によってカメラのレンズからアクセサリー、駆使するテクニック、照明機材が変わってくるかと思います。
それは生ものの料理写真でも同様。さらに食べ物だけでなく飲み物、そう液体の撮影もまた難しいもの。今回は飲み物の撮影についてみてみましょう。
飲み物といっても透明のものから牛乳のような不透明なもの、一般的ドリンクからお酒やカクテルといったアルコールなど、それぞれ飲み物の特徴や写真で何を伝えるかということによって、写真撮影のセッティングも変わってくるでしょう。

同じグラスに入った飲み物でも朝食用の牛乳、カウンターバーにあるカクテルとではホワイトバランスと照明の光源も変わってきます。
その例でみていくと、グラスの牛乳を撮影する際には「朝食らしい」「さわやかな」感じを損ねることがないようにしっかりとホワイトバランスをあわせてキレイな白を設定します。一方グラスのカクテルは「お酒を飲む場」の雰囲気を演出するため、あえてホワイトバランスをアンバー目にして蛍光灯ではない温かな色調で撮影するといった具合です。

つまりは組み合わせですね。それは食べ物でもそうですが「いつ」「どこで」飲むものかを想定して、映り込む背景から照明、光の角度などを考えていく必要があるということです。

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冬の光

四季があるように、季節によって光の加減が違うため、冬の光が夏に比べて柔らかく感じる方も少なくはないでしょう。
夏に比べて同じ日中の時間帯でも、光の柔らかさが随分違います。
それは太陽の高さや光の波長の長短によるからでしょう。

冬の朝に、土と植物が生い茂っている場所では、太陽の熱によって太陽と植物から蒸発される湿気に光が反射し、まさに自然のディフュザーといった美しい光景も目にします。

冬の風景写真は色移りがよくない、コントラストや色調整を調整するなどという意見もありますが、冬だからこそ、というの光でまさに「冬らしい」写真を撮影できるのもこの季節です。

ロケ撮影や、屋外写真を多く撮影される方は、写真撮影によって季節の感覚や光の加減を感じる方は結構多いかもしれません。

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ディテールをしっかり

キレイなレリーフのある彫刻やインテリア品、素材感が強調される衣類、細部にこだわった家具からキッチン用品など細かいディテールのある商品は、しっかりそのディテールを表現したいものですね。

さてそのディテールをくっきり浮かび上がらせるようにして写真撮影するには一つのポイントがあります。それは照明の角度。
正面からの自然光、フラッシュ、ストロボといったすべての照明は細かなディテールが見えず、ぼんやりとしかわかりません。
照明を斜めから当てます。すると微妙なディテール、素材の凹凸などが立体感が際立つことにより、浮き出して見えてきます。

ディテールをしっかり撮影したい場合には「斜め照明」がキーワードです。

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Exif利用

前回もお話ししたように、Exif情報のGPSによってブログに掲載した写真から、どこで撮影したかがわかり、個人情報の侵害につながるということや、外注のプリントアウトのためなどでExif削除のおすすめを書きましたが、Exifそのものは非常に便利なデータなので、写真撮影をしている人は有効に活用することもできます。

被写体や環境などの光、照明、露出などを比べるために過去に撮影した写真のExifから記録されたデータを比較することも可能です。
ブログのみならずHPなどに載せる写真の著作権情報を追加することによって、オリジナルの写真として著作権を守るためにも有効です。

デジタル写真でも情報は上手に活用したいものですね。

撮影照明の専門店

写真プリントの外注

写真撮影、画像処理、色調や露出編集をすませてプリントアウトを外注に出した際、いざ実際にプリントに仕上がるとモニター上で調整したものと随分のギャップがあることってありませんか。
せっかく編集、加工をしたのに、、と。

それぞれ見るモニターによっても色バランスや設定の違いによって同じデータでも違いは出てきますが、大きなギャップを防ぐために、Exif情報の削除ということをお勧めします。
以前にもお話ししたExif情報。これはデジタルカメラやスマートフォンなどで撮影した画像に、画像情報の記録を指します。このExfi情報の中には画像処理、加工、トリミングなどの情報も一緒に含まれるので最終的に編集が終え保存する際にExif情報の削除を選択します。

撮影した画像と編集した画像処理のデータを一致させることによって、ご自分でモニター上で見た画像と、写真としてプリントされたものの画像のギャップが避けられるでしょう。

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質感を大切に

写真学校などで撮影技術の前に学ぶことが、「質感」です。
これはもちろん学校や写真コースなどで学ばなくても、人それぞれのセンスですでに持っているものなのですし、普段から感じていることなのですが、あまりの多くの情報、映像の中にいると、かえって鈍感になったりして、実際に撮影する際に配慮が足りなくなったりします。
質感を見て感じる、わかることと、質感を撮影するテクニックは違うでしょう。
普段から広告写真などで、この素材だからこう見せている。といったように写真の見せ方に関心を持ってしっかり見ることも写真撮影のテクニックにつながります。

質感が重要、かつ表現することが難しい被写体としてジュエリーが挙げられるでしょう。
質感を引き出すのも、ここでも照明がたいせつです。
ただ、ナチュラルに、かつジュエリーのもつ品のある質感を表現するのには、光を「たす」だけでなく、光を「ひく」ことも重要。

つまり、照明の光の加減を調整して、強すぎて反射したり、背景に影ができないような適切な照明を得ることが大切です。そこで活躍するのがフィフューザーです。被写体と照明の間にフィフューザーを置き、光を拡散することによって面光源を大きくします。それによって被写体、ジュエリーに届く光が柔らかく、貴石や貴金属部分をなめらかに写し、さらに背景の影なども気になることがありません。
ディフューザーを使って、適切な照明を演出しましょう。

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どの光か決める

商品撮影をキレイに撮る決定打は、なんといっても照明にかかっています。
一般的で使いやすいソフトボックスを使用する際にも、忘れてはいけないことはほかの光を遮断することです。
撮影用スタジオではなく、オフィスや家庭で撮影セッティングする場合には、日中の場合窓から入る光にも注意をしましょう。さらに室内のほかの照明にも気を配ります。
商品を配置して照明器具も整ったところで撮影開始したいところですが、たとえヨリで撮影したとしても室内にほかの光がある場合には、照明機材の光と交わる可能性があります。
ほかの光が入り込むと何が問題なのか?
照明機材の色温度に合わせてホワイトバランスを設定した場合、ほかの色温度の光が入り込むと、商品の微妙な色を再現できない場合があるからです。
またせっかく考えたライティングも、ほかの光によってうまく活かされないこともあります。

まずは商品の配置構図を決めて、照明セッティングをはじめる前に、窓から入る屋外の光をカーテンなどで遮り、室内の照明をOFFにすることをお忘れなく。

照明機材のライトグラフィカ

歪曲収差 わいきょくしゅうさ

特に広角レンズやズームレンズの広角側を使用したときに、樽型のように直線が外側に歪んだり、または内側に歪んだりする歪曲が生じます。
高性能なレンズや単焦点レンズでは起こりづらいともいえますが、撮影の被写体が建築物などを撮影する際には広角レンズを使用することが多いため顕著に目立ちます。

最近では非常に高度な歪曲収差の補正をするソフトなども出ていますし、
カメラ自体に歪曲収差補正機能がついているものもあれば、それに近い斜め補正といった機能などメーカーやモデルごとに考慮されています。

建物撮影や、画角が広角レンズを必要な場合には、カメラを購入する際にも歪曲収差に関して機能があるかどうかチェックするのもひとつです。

室内写真を撮影する際に壁やドアの直線部分が歪曲するのが気になります。室内で立ったまま撮影すると垂直線が崩れやすいので、立ち位置を低く、または座った状態の低さで撮影するとキレイな直線になります。目安の直線を見つけて調整するといいでしょう。

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ディフューザーボックス

前回お話ししたスレーブ撮影、この撮影方法を利用してさらにテクニックに磨きをかけましょう。
スレーブ撮影と平行して活用したいのがこちら、ディフーザーボックス。
いわゆるディフーザーですべての側面を覆ったボックス型のアイテムです。名前通り箱形の四角いものから、ドーム型のものまで形はそれぞれ、サイズは様々あります。
小物撮影の場合には小さいものでも十分活用できるでしょう。

さて、スレーブ撮影とディフーザーボックスをどのように組み合わせたらよいのか。
スレーブ撮影では横や斜めからの光などの多灯撮影が可能ですが、光のコントラストが強くてスレーブ撮影の反対側が強い影ができてしまうことがあります。
そこで被写体をディフーザーボックスに入れて、スレーブをディフーザーボックスの外から発光すると、それはちょうど良い柔らかい光となってボックス内にある被写体を照らします。

こんな組み合わせ撮影も是非お試しください。

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