やっぱり先をいくダイアン・ハースト

先日10月11日、ちょっと衝撃的なニュースがありましたね。
ロンドンのニューポート・ストリート・ギャラリーにてダミアン・ハーストが自身の作品1000点を焼却するというライブパフォーマンス。ハースト自身が燃え盛る暖炉の火に作品を入れて焼却する様子の動画も流れました。
これは1年前にダミアン・ハーストが立ち上げた新しいNFT(Non-Fungible Token 非代替性トークン)のプロジェクトで、「Currency 通過」と名付けられた作品です。ハーストの代名詞のようなカラフルなドットが描かれたA4サイズの作品を1万点を制作、紙幣のように個別のメッセージが施されて偽造防止をしたこの作品は物質的なそのものの作品ではなくNFTとして販売され、1年後の今年2022年に購入した所有者は物質的な作品またはデジタルとしての作品どちらかを選択しなければならないという、まさにアートの価値について投げかけたプロジェクトでした。
結果は5149人が物質そのものの作品を選んで、4851人がNFTを選び、そのため4851枚の作品を焼却することになったのです。
アートのデジタル化、考えさせられます。

10月11日にまず1000枚が焼却され、展覧会の会期10月30日まで毎日決まった時間に焼却されるそうです。公式インスタグラムでもみることができます。

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30年の軌跡展

昨年惜しまれて最後の公募を終えた「写真新世紀」。
その30年間の文化支援プロジェクトの歩みを振り返る「写真新世紀30年の軌跡展」が東京都写真美術館で開催されます。
歴代受賞者の中から一般投票で選ばれた10名の受賞作品展、そして2021年度グランプリ受賞者の新作個展が展示内容です。
さて、その一般投票で選ばれた10名とは:
青山裕企(2007年優秀賞)
新垣尚香(2005年優秀賞)
大森克己(1994年優秀賞)
奥山由之(2011年優秀賞)
澤田知子(2000年特別賞)
高島空太(2016年優秀賞)
中村ハルコ(2000年グランプリ)
蜷川実花(1996年優秀賞)
長谷波ロビン(2012年優秀賞)
浜中悠樹(2012年優秀賞)(敬称略)

選ばれた写真家の名前とその受賞年を見るだけでもなんだか感慨深いですね。
そして関連イベントも興味深いです。
10月16日には出展者によるトークショー、11月5日には大森克己氏、佐内正史氏(1995年優秀賞)、奥山由之氏、三者によるトークショーがあります。11月6日には飯沢耕太郎氏と南條史生氏によるトークショーと野口里香氏(1996年グランプリ)による写真レクチャーがあります。
写真展もイベント参加も入場無料です。イベントは定員があります。
10月16日のオープニングが待ち遠しいです。
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コンポラ写真の代表的作家

渋谷PARCO 8階のギャラリースペース「ほぼ日曜日」にて牛腸茂雄氏の写真展「はじめての、牛腸茂雄。」が開催されています。
牛腸茂雄氏といえば1994年に発売された「SELF AND OTHERS」が写真を勉強する学生にも写真ファンにも語り継がれている写真集があります。
コンポラ写真の代表的な作家といわれる牛腸氏ですが、「SELF AND OTHERS」の双子の女の子の写真など一度見たら忘れられないほど強く印象を残します。
牛腸氏は幼少に患った病気と闘病し1983年に36歳の若さで亡くなっています。桑沢デザイン研究所で同級生だった写真家の三浦和人さんのインタビューが2016年にほぼ日刊イトイ新聞にて掲載されました。そこで牛腸さんのひととなりを伺えることができます。
今回の展示で約100点の作品が展示されますが、その中の1995年撮影のじっとこちらを見る可愛らしい女の子の写真がありますが、実は漫画家でイラストレーターのしまおまほさんだという、驚きの話もこのインタビューに載っています。
(https://www.1101.com/gocho_miura/2016-11-24.html)

この写真展の特徴のひとつはこの展覧会のために三浦さんご自身がプリントし、そしてアクリル板なしで展示されるということです。
牛腸さんのフィルムや関連資料を保管されている三浦さんの快諾があって実現しているそうです。
そしてもうひとつ「ほぼ日」らしいのは、案内人役をギャグ漫画化の和田ラヂヲ先生が担当されるという点です。
一見難解に思えてしまいそうな写真展を和田ラヂヲ先生を通して作品を鑑賞できるという企画が面白いですね。
ラヂヲ先生が描いた双子の女の子のイラストなども味深く、展覧会のオリジナルグッズとして販売もされています。

まさしく「はじめての、牛腸茂雄。」写真展。11月13日までです。

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6年ぶりの大規模個展

東京オペラシティ アートギャラリーにて10月から始まる川内倫子さんの個展開催概要が発表されました。
2016年に熊本市現代美術館で開催されて以来6年ぶりの個展、しかも大規模個展です。
タイトルは「M/E 球体の上 無限の連なり」です。
「M/E」とはMotherとEarthの頭文字、つまりは「母なる大地」そして「私 Me」という意味もあるそうです。

2019年にアイスランドで撮影した氷河や雪景色、そしてコロナ禍での日常の風景など未発表作品を交えて構成される展示会場は、建築家 中山英之氏が空間設計を手掛け、川内さんの連載エッセイにて中山氏とチームについてそのプロフェッショナルさを讃えているほどです。大規模な展示の空間設計がいかに大切なことか伺えます。
直近の約10年の活動に焦点を当てて展示され、2016年に出産され母になられた時間も多分にあり、作品に繋がり、作家の感性にあらためて触れられるのが楽しみです。

10月8日から12月18日まで開催され、その後川内さんの出身である滋賀県にて巡回されるというのもいいですね。
会場は滋賀県立美術館、会期は2023年1月21日から3月26日です。
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なんと麗しいキャンペーンビジュアル

LOEWEのアイコン的なバック、ハンモックバックの新しいサイズ「ハンモックコンパクト」のキャンペーンビジュアルをアンダース・エドストローム氏が撮影したというので見ないわけにいきません。
早速見てみると、その美しさと世界観に圧倒。出演は安藤サクラ氏、そしてスタイリストは北村道子氏、なんとも豪華な顔ぶれです。
多くのファッションブランドの撮影を手掛けてきたエドストローム氏。雑誌「PURPLE」やマルタン・マルジェラとの活動など華麗な経歴のみならず、プライベートワークでは京都の山間部にある塩谷を撮影した写真集「Shiotani」や映像作品「仕事と日(塩谷の谷間で)」など興味深い作品を制作し、ファッションファンからも写真や映像ファンまで魅了しています。

さて、こちらのキャンペーンビジュアルですが、京都 南禅寺、舞鶴、大阪と三都市で撮影、それぞれのシーンで装いとバックのカラーが変わり、エドストローム氏ならではの光と風景の切り方でまるでショートフィルムを見ているような感覚に陥ります。
映像はYouTubeにて、写真は「The Fashion Post」(https://fashionpost.jp/news/224864) にて堪能できます。
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写真界のレジェンド逝く

ジャン=リュック・ゴダールが亡くなり多くの記事で取り上げられていますが、同じ頃写真界のレジェンド、ウィリアム・クラインも亡くなりました。
ゴダールが91歳、クラインが96歳、パリ生まれのゴダールとニューヨーク生まれでパリで主に活動したクライン、この2022年に3日違いで生涯を終えました。どちらも後世に多大な影響を残したのは言うまでもありません。

ウィリアム・クラインが最後に来日したのは2018年、21_21 DESIGN SIGHTにてグループ展が開催された時でした。その時御年89歳。進行中のプロジェクトがあることや写真集「東京」についてのエピソードなどのインテヴューが残っています。
ひとつの大きなスタイルを築いた写真家の「その時」の言葉を読むことができる、つまりアーティストと同じ時代を少しでも共有できることはとても幸せなことだなと実感します。

クラインの公式インスタグラムには作品のほかにパリフォトの様子やアニ・リーボヴィッツとのショットなども見ることができます。
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写真で見るエリザベス女王

世界最高齢の君主、英国のエリザベス女王が亡くなり各国でトップニュースになりました。
年齢が96歳ということ、そして70年という最長の在位期間が大きな話題になっていますが、英国以外にも14カ国の英連邦王国および王室属領、海外領土の君主でもあるので、世界の15カ国が同時に君主を亡くしたということにもエリザベス女王の存在の大きさが窺えます。

在位期間を年代を追って見ていくとそのまま世界の歴史の変化を追っていることになります。
今年の6月2日に在位70年「プラチナ・ジュビリー」の際にBBCニュースジャパンのサイトで特集された「在位70年、96歳のエリザベス英皇女 写真で96年を振り返る」は写真とともに見甲斐がある特集です。
(https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-61682095)
生誕の1926年から2022年まで、一年ごとに写真とともに内容が添えられて、もちろん96枚あるのでじっくり見ると長いのですが、この在位期間にアメリカの大統領は14人だったというくだりを読んでいると女王がいかに稀な存在だったかを知らされます。

歴史のみならずファッションの観点から見ても随分注目を集めていた女王です。やはりプラチナ・ジュビリーを記念してVOGUE UKで特集された女王のファッション特集も写真を眺めるだけでも興味深いです。
即位60年記念の時にもVOGUE UKが「Rainbow QUEEN」と題して色別に女王の写真をチャート式に並べた写真も有名ですが、一色使いの多いファッションに比べて、2022年のこちらの特集では模様がある生地のドレスや単色使いではない装いなど女王のファッションを堪能できる特集です。
どれほど英国民のみならず世界中から慕われて愛されてきた存在だったのでしょう。
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一点もののマットパネル

現在俳優 永山瑛太氏の写真展「永山瑛太、写真」が同時されています。
なんと3カ所同時開催です、会場はライカギャラリー東京、ライカプロフェッショナルストア、ライカギャラリー京都です。
永山さんといえば月刊ファッション誌「GINZA」にてポートレイト撮影を担当された写真が写真集として今年1月に発売されています、その撮影数は45人。俳優からミュージシャン、アスリートからアラーキーまでさまざまなジャンルの著名人を撮影しています。
今回の写真展ではセルフポートレートと著名人のポートレート、そしてスナップ作品が展示されています。
注目すべきことはセルフポートレイトと永山さんによるペイントされたマットパネルを組み合わせて特別販売されていることです。
写真のプリントサイズはA3ノビ、マットサイズは610mm×762mm、裏に直筆サインが入っています。
飾り甲斐のあるサイズですよね、そして何と言っても一点もの。
そして値段に驚きます、440,000円。
ペイントマットは全15種類、下世話ですが計算してみると、15点で6,600,000円也!
ファンやコレクターにとってまさに垂涎ものでしょう。
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まるで映画そのもの

1958年、今から60年以上前に起きたバラバラ殺人事件の捜査を密着して撮影した写真集が話題になっています。
撮影者は渡部雄吉氏(わたべゆうきち)、1924年生まれの写真家で報道写真などで国内外で活動、1993年にお亡くなりになりますがその前年には紫綬褒章も受章されています。
さて、なぜ今注目されているかというと、その1958年に起きた茨城県水戸市の千波湖(せんばこ)のバラバラ事件を捜査した二人の刑事を20日間密着して、聞き込みから会議の様子などを撮影した渡部氏の1000枚にも及ぶ写真が、50年以上経った2011年にフランスの出版社から「A Criminal Investigation (犯罪捜査)」という写真集として刊行され大ヒットし、日本でも2013年に刊行されたのをもとに2014年に作家 乙一氏が構成と文を担当し「張り込み日記」という写真集として再誕生したからです。
表紙だけからも「え、これは映画のポスター?」と思ってしまうくらい、演技をしているように見えてしまうくらいの白黒写真なのです。なにしろ「実際の捜査」の写真ですからね。
まさに実録写真集です。その時代、実際の捜査、白黒写真、あらゆる要素が圧倒する迫力を相乗させています。
フランスの出版社で刊行されたきっかけは、神保町でイギリスの古書店バイヤーがオリジナルプリントを発見したからそうで、ちょっとヴィヴィアン・マイヤーを想起させますね。

さてこの話題の2014年刊行の「張り込み日記」、撮影はオリジナルネガフィルムから、印刷はトリプルトーン(調子が異なる3版を使用し白黒写真を諧調豊かに表現する印刷方法)でシャドウ部のディテールにこだわっています。

そしてなぜかamazonにて価格が高騰しているのですが、出版元のナナクロ社で定価で購入することができます。

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ズームロックスイッチ

野外撮影の際、カメラにズームレンズをつけたまま移動していると、いつの間にかレンズがだらーんと伸びてしまっていることってありませんか?
レンズ自体の重みや移動の振動などで重力に引っ張られてしまうのですね。
見た目も格好よくはありませんし、大きめのズームレンズであれば伸びてしまった状態で移動するのも大変です。
さて、こんな予防にズームロックスイッチというのがあります。
メーカーが携行しやすいために設定したものです。大抵はレンズのボディー側にロックスイッチがあり、ロックすればズームリングがブロックされて回転しないようになっています。

ただひとつ、キャノンなどのメインメーカーのレンズには見かけません。
サードパーティのタムロンやシグマといったメーカーのレンズには付いています。
ズームロックスイッチが付いているレンズをお持ちの際には是非活用してみると便利ですよ。

ただし実際に撮影する段階でロックをかけていたのを忘れるとズームできずに焦ります。
撮影時にはロック解除をお忘れなく!
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