『監視カメラが映し出す芸術的な風景写真』

モノクロ写真で表現された、荒々しい大地、幻想的で雄大な山々、うっそうとした森林。
http://www.marcusdesieno.com/surveillance-landscapes/
これらの写真はアメリカの写真家、マーカス・デジーノによって発表されたものです。
美しくも、自然の厳しさが伝わってくるような作品です。

何とデジーノは、普通の撮影のように、三脚を立ててタイミングを計りながら一枚一枚シャッターを切っていたわけではないと言います。
彼の写真はすべて、監視カメラにも使用される、インターネット上に公開されている「ウェブカメラ」によって撮影されたものなのだというから驚きです。
また同時に、こんな自然の中にもウェブカメラってあるんだな、ということにも驚かされます。
彼の、ウェブカメラが撮影した自然の姿をまとめた作品「Surveillance Landscapes」は、およそ2年もの月日を費やして制作したのだとか。

デジーノの感心は、写真技術がどう進化してきたのか、そしてその進化によってわたしたちの自然への認識がどう変わってきたのか、ということに向いているそうです。
彼は美しい自然の姿をとらえるため、歩き回って撮影を行うのではなく、パソコンの前で何時間もウェブカメラが映し出すモニターを監視し続けます。
そして無数のシーンの中からこれだと思ったものを選び抜いて、それらを大判カメラで改めて撮影することで、水墨画のような風景写真を生み出しているとのこと。

デジーノは、美しい自然の姿を伝えたいというよりはむしろ、監視カメラの機能にスポットを浴びせたいのだそうです。
不毛で荒涼とした自然に焦点を当てることで、世界中に監視カメラがどれだけたくさん存在しているのか人々に考えさせたい、そんな皮肉が込められているのです。

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