小説を読んでいるようなインタビュー

古屋誠一さんといえば、海を背景に竹の棒を持ち長靴を履いた女性のポートレートをすぐに思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
古屋誠一さんの妻、クリスティーネさんの1978年のポートレート。
そのクリスティーネがさんが自ら命をたったのが1985年。それから4年後に、のちに今日まで古谷さんのライフワークともなる作品群「Mémoires メモワール」が写真集として発表され、シリーズとして5冊の写真集が発表されてきました。
そして今年2020年、クリスティーネさんが亡くなって35年の時を経て「メモワール」の最終作として「Face to Face」が刊行されました。それに伴い美術史家の伊藤俊治さんによる古屋のロングインタビューがIMA ONLINEにて掲載されました。
その長さは16,000字。400字の原稿に換算して40枚というまさに読み応えたっぷりのロングインタビュー。
個人的にも、どうしようもなく惹かれるクリスティーネさんのポートレート。だからこそ「メモワール」としての作品にも、そして古屋さんのインタビューなどにも引き付けられますが、今回のロングインタビューはまるで小説を読んでいるかのような言葉の側面での空想や読後の余韻が押し寄せます。
「Face to Face」は二枚一組、見開きで二枚の写真が組みになって掲載されています。二人が出会ってからクリスティーネさんの死までの7年間に撮影された写真。これまでの「メモワール」、古屋さんが撮影した写真で構成されたものとの違いは「Face to Face」ではクリスティーネさんも表現者として彼女が撮影した写真が作品として発表されているという点。
「Face to Face」この以後も1978年に二人で訪れたボローニャ旅行の記録、スーパー8mmフィルムイメージのみを使った写真集や1985年にクリスティーネさんがポケットカメラで撮影した写真からなる写真集の刊行が予定されているとのこと。こちらも楽しみです。
撮影機材・LED照明の専門店