『群れ』

野性動物、鳥、魚、昆虫などはしばしば群れをつくって一斉に動きます。
生物はそれぞれ意思を持っていて、一体ずつが各自動いているにもかかわらず、おびただしい数の個体がつくり出す群れは、なぜだか統率のとれた動きを成しています。
まるで「群れ」という一つの大きな意思が働いているかのようです。

こうした群れの動きにも見られるような、集団を構成する個々の動きが、複雑に組織化して全体に大きな影響を与える現象を「創発」と呼ぶそうです。
創発はさまざまな場面で起きているといわれています。
シロアリがつくり出す複雑で巨大な蟻塚も創発の結果だそうで、わたしたち人間の脳の働きにも創発現象は現れているといわれています。

さて、そんな創発現象を「日用品」にまで起こしてしまった人がいます。
アメリカのアーティスト、トーマス・ジャクソンは自身の「Emergent Behavior」という作品にて、プラスティックのカップや紙皿、付箋など、さまざまな日用品を創発 させています。

http://thomasjackson.co/emergent-behavior.html

色鮮やかな日用品が群れをなすようにして宙に浮いている様子は、彫刻のような美しさをたたえながら、どこかポルターガイスト現象のような不穏さをも感じさせます。
消費社会と自然がセッションを繰り広げているようにも見え、人間と自然との間の複雑な関係を表しているようです。

ちなみに、いかにも画像処理を行なったかのように見える写真ですが、実はこれらはモチーフを事前にワイヤーなどで空中に設置して撮影しているリアル写真とのことです。

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