真似さえできない

石川直樹さんの東京での初の大規模個展が東京オペラシティーで開催されています。
2016年12月に水戸芸術館でスタートした「この星の光の地図を写す」展が全国を巡回してそのラストとなる展覧会で、初期の作品から現在に至るまでを総括した展覧会。
石川さんは20歳で北米最高峰のデナリを登頂して22歳で北極から南極を人力で踏破、23歳で7大陸すべての最高峰を制覇したとして当時から話題でした。
活動を続けながら並行して東京芸術大学大学院美術研究科博士後期課程修了、冒険家と言われて同時に写真家としての肩書きをもつ作家です。
絵画にしても写真にしても、特徴ある有名作家の作風を模倣しながら学ぶ方法がありますが、石川さんの被写体はおいそれとたどり着くことはそうありません。だからこそ真似することさえできない唯一無二の作家であり作品。

さて、この機会に一気に石川作品に触れることができますが、石川さんのエッセイも絶品です。
2016年に書籍化された「ぼくの道具」。
書籍化される前はオンラインでエッセイと写真を見ることができました。現在もいくつかのバックナンバーを読むことができます。
世界の極地に行くことは一般にはありませんが、石川さんの文章と彼の旅の愛用品の写真を見ると、
想像上の極地への旅を体験できます。
テント内が図解付きで説明があり、極地でどうやって過ごしているのか、日用品から登山用のアイテム、そして気になる写真撮影に関する機材のことまで、石川さんならではの「ぼくの道具」にスポットを当てた興味深くおもしろい一冊です。

前回登頂を断念したK2に今年6月に再度チャレンジする石川さん。
きっと前回と同じように実況中継的なサイトができるでしょう。私たちはそこで気持ちだけでも石川さんとともに冒険とチャレンジの高揚感と緊張感を味わえます。
これからもどんな世界を私たちに見せてくれるのか石川さんの目を、カメラを通して見える写真が楽しみです。

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