なんと麗しいキャンペーンビジュアル

LOEWEのアイコン的なバック、ハンモックバックの新しいサイズ「ハンモックコンパクト」のキャンペーンビジュアルをアンダース・エドストローム氏が撮影したというので見ないわけにいきません。
早速見てみると、その美しさと世界観に圧倒。出演は安藤サクラ氏、そしてスタイリストは北村道子氏、なんとも豪華な顔ぶれです。
多くのファッションブランドの撮影を手掛けてきたエドストローム氏。雑誌「PURPLE」やマルタン・マルジェラとの活動など華麗な経歴のみならず、プライベートワークでは京都の山間部にある塩谷を撮影した写真集「Shiotani」や映像作品「仕事と日(塩谷の谷間で)」など興味深い作品を制作し、ファッションファンからも写真や映像ファンまで魅了しています。

さて、こちらのキャンペーンビジュアルですが、京都 南禅寺、舞鶴、大阪と三都市で撮影、それぞれのシーンで装いとバックのカラーが変わり、エドストローム氏ならではの光と風景の切り方でまるでショートフィルムを見ているような感覚に陥ります。
映像はYouTubeにて、写真は「The Fashion Post」(https://fashionpost.jp/news/224864) にて堪能できます。
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写真界のレジェンド逝く

ジャン=リュック・ゴダールが亡くなり多くの記事で取り上げられていますが、同じ頃写真界のレジェンド、ウィリアム・クラインも亡くなりました。
ゴダールが91歳、クラインが96歳、パリ生まれのゴダールとニューヨーク生まれでパリで主に活動したクライン、この2022年に3日違いで生涯を終えました。どちらも後世に多大な影響を残したのは言うまでもありません。

ウィリアム・クラインが最後に来日したのは2018年、21_21 DESIGN SIGHTにてグループ展が開催された時でした。その時御年89歳。進行中のプロジェクトがあることや写真集「東京」についてのエピソードなどのインテヴューが残っています。
ひとつの大きなスタイルを築いた写真家の「その時」の言葉を読むことができる、つまりアーティストと同じ時代を少しでも共有できることはとても幸せなことだなと実感します。

クラインの公式インスタグラムには作品のほかにパリフォトの様子やアニ・リーボヴィッツとのショットなども見ることができます。
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写真で見るエリザベス女王

世界最高齢の君主、英国のエリザベス女王が亡くなり各国でトップニュースになりました。
年齢が96歳ということ、そして70年という最長の在位期間が大きな話題になっていますが、英国以外にも14カ国の英連邦王国および王室属領、海外領土の君主でもあるので、世界の15カ国が同時に君主を亡くしたということにもエリザベス女王の存在の大きさが窺えます。

在位期間を年代を追って見ていくとそのまま世界の歴史の変化を追っていることになります。
今年の6月2日に在位70年「プラチナ・ジュビリー」の際にBBCニュースジャパンのサイトで特集された「在位70年、96歳のエリザベス英皇女 写真で96年を振り返る」は写真とともに見甲斐がある特集です。
(https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-61682095)
生誕の1926年から2022年まで、一年ごとに写真とともに内容が添えられて、もちろん96枚あるのでじっくり見ると長いのですが、この在位期間にアメリカの大統領は14人だったというくだりを読んでいると女王がいかに稀な存在だったかを知らされます。

歴史のみならずファッションの観点から見ても随分注目を集めていた女王です。やはりプラチナ・ジュビリーを記念してVOGUE UKで特集された女王のファッション特集も写真を眺めるだけでも興味深いです。
即位60年記念の時にもVOGUE UKが「Rainbow QUEEN」と題して色別に女王の写真をチャート式に並べた写真も有名ですが、一色使いの多いファッションに比べて、2022年のこちらの特集では模様がある生地のドレスや単色使いではない装いなど女王のファッションを堪能できる特集です。
どれほど英国民のみならず世界中から慕われて愛されてきた存在だったのでしょう。
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一点もののマットパネル

現在俳優 永山瑛太氏の写真展「永山瑛太、写真」が同時されています。
なんと3カ所同時開催です、会場はライカギャラリー東京、ライカプロフェッショナルストア、ライカギャラリー京都です。
永山さんといえば月刊ファッション誌「GINZA」にてポートレイト撮影を担当された写真が写真集として今年1月に発売されています、その撮影数は45人。俳優からミュージシャン、アスリートからアラーキーまでさまざまなジャンルの著名人を撮影しています。
今回の写真展ではセルフポートレートと著名人のポートレート、そしてスナップ作品が展示されています。
注目すべきことはセルフポートレイトと永山さんによるペイントされたマットパネルを組み合わせて特別販売されていることです。
写真のプリントサイズはA3ノビ、マットサイズは610mm×762mm、裏に直筆サインが入っています。
飾り甲斐のあるサイズですよね、そして何と言っても一点もの。
そして値段に驚きます、440,000円。
ペイントマットは全15種類、下世話ですが計算してみると、15点で6,600,000円也!
ファンやコレクターにとってまさに垂涎ものでしょう。
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まるで映画そのもの

1958年、今から60年以上前に起きたバラバラ殺人事件の捜査を密着して撮影した写真集が話題になっています。
撮影者は渡部雄吉氏(わたべゆうきち)、1924年生まれの写真家で報道写真などで国内外で活動、1993年にお亡くなりになりますがその前年には紫綬褒章も受章されています。
さて、なぜ今注目されているかというと、その1958年に起きた茨城県水戸市の千波湖(せんばこ)のバラバラ事件を捜査した二人の刑事を20日間密着して、聞き込みから会議の様子などを撮影した渡部氏の1000枚にも及ぶ写真が、50年以上経った2011年にフランスの出版社から「A Criminal Investigation (犯罪捜査)」という写真集として刊行され大ヒットし、日本でも2013年に刊行されたのをもとに2014年に作家 乙一氏が構成と文を担当し「張り込み日記」という写真集として再誕生したからです。
表紙だけからも「え、これは映画のポスター?」と思ってしまうくらい、演技をしているように見えてしまうくらいの白黒写真なのです。なにしろ「実際の捜査」の写真ですからね。
まさに実録写真集です。その時代、実際の捜査、白黒写真、あらゆる要素が圧倒する迫力を相乗させています。
フランスの出版社で刊行されたきっかけは、神保町でイギリスの古書店バイヤーがオリジナルプリントを発見したからそうで、ちょっとヴィヴィアン・マイヤーを想起させますね。

さてこの話題の2014年刊行の「張り込み日記」、撮影はオリジナルネガフィルムから、印刷はトリプルトーン(調子が異なる3版を使用し白黒写真を諧調豊かに表現する印刷方法)でシャドウ部のディテールにこだわっています。

そしてなぜかamazonにて価格が高騰しているのですが、出版元のナナクロ社で定価で購入することができます。

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みえないウイルスを写す

みえないウイルスを写す

現在東京恵比寿のMEMにてアントワン・ダガタ展が開催されています 。タイトルは「VIRUS ウイルス」。
フランスがロックダウンを始めた2020年の3月から5月中旬までの約2ヶ月かけて撮影したプロジェクトで、これまでにフランス、メキシコ、スペイン、イタリア、中国、韓国、ウクライナで展示され、今回日本でこのシリーズが初めて展示されています。
ひと目見てアントワン・ダガタ作品だとわかる特徴あるスタイルは今回も然り、撮影にサーモグラフィーを使用した作品です。
世界中を襲った新型コロナウイルスのパンデミックは、ウイルスという存在が見えないからこそ恐怖であり捉え所のないものですが、その「見えない」ウイルスを温度によって目に見えることができるサーモグラフィーを使ったのです。被写体とそして撮影現場にコミットする撮影方法に重きを置くアントワン・ダガタらしい手法とアイデアでまたひとつアントワン・ダガタの代表作となるのではないでしょうか。
撮影は人のいない閑散とした路上、ぽつりぽつりとしか人がいない街中、病院内の治療中の様子など、ぼんやりと浮かび上がるサーモグラフィーだからこそ煽られるような恐怖感を感じます。

展覧会会場では毎週土日に120インチスクリーンでの映像作品の上映が完全予約制であります。無料ですが定員が各上映につき5名なので開催期間の3月6日までチケットを取るのに難しいかもしれません。大型スクリーンでの鑑賞が出来なくてもYouTubeにて公開中です。約8分の映像は画面を3分割し撮影写真を写し続けるのですが、サーモグラフィーが写し出す「ウイルス」が不気味です。
写真集としても、本人が運営するスタジオStudio Vortexから刊行されています。

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写真絵本 川内倫子さん

写真絵本
川内倫子さんが出産されて、妊娠出産の前後に撮影した写真を短いテキストとともに収録した
写真絵本が刊行されました。
タイトルは「はじまりのひ」。この刊行を記念して展覧会が開催されています。
表紙の写真からもおもわず「あ!」といってしまいそうな川内ワールドが広がり「うたたね」
の世界、川内さんならではの感性で撮られた一枚一枚を堪能できそうです。
川内さんといえば現在Milk JAPONのウェブサイトで「そんなふう」という写真コラムを連載し
ていますが、もともと「りんこ日記」でも定評のある文章がここでも読めるように写真絵本と
いう文章との組み合わせは秀逸。あらたな写真絵本という形で川内ワールドを体験できるのは
嬉しい限りです。
会期は5月13日まで。ゴールデンウイーク中に家族とでも友達とでも、もちろん一人でもじっ
くり鑑賞したい展覧会です。行きたい展覧会リストの一つに是非。

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圧倒されるコラージュ

2月6日に放送された「情熱大陸」をご覧になったでしょうか。
写真家・西野壮平さんが紹介されました。
「Diorama Map」で一気に注目を浴び、今回の放送の中でも美術評論家の山下裕二さんが「こういうやり方をしている人はいないんじゃないか」「期待している」と称賛を送るように、先日発表された第46回木村伊兵衛写真賞のノミネート作家になるほど活躍しています。
西野さんといえば「Diorama Map」というほど作品のインパクトが大きいのですがその制作の様子を垣間見ることができるだけでも必見の回でしょう。
今回の放送ではコロナ禍に富士山を題材として作品を作り上げる様子を取材しています。富士山登頂のすべてのルートを登り、撮影から制作を合わせて5か月間でひとつの作品が完成し、放送の最後にはその圧倒される作品が表れます。
「おもしろい」とお父さまがおっしゃったその富士山の作品は現在キャノンギャラリーSにて開催されている「西野壮平写真展 線をなぞる”tracing lines”」で3月7日まで観ることができます。

西野さんのHPでも細部を見ることができます。
HP内で西野さんが綴るように、これまでのDiorama Mapが、ここではまさに曼陀羅と化しているかのようです。

3月中旬発表の木村伊兵衛写真賞も楽しみです。

https://www.mbs.jp/jounetsu/2022/02_06.shtml

12年を1冊に

重さ2,5kg、総ページ数512ページの写真集。
これはデビューから12年間の間に手がけた奥山由之さんの写真集です。
写真のみならず映像監督としても活躍する奥山さんですが、デビューが2010年、12年のキャアリで若干30歳。
そんな奥山さんの数ある作品の中からクライアントワークに絞って約400点の作品を奥山さん自身がセレクトし収録した凝縮した写真集です。
2月7日発売で、通常盤のブラックと限定盤のライトグレーがありますが通常版のおよそ倍の値段の限定版はすでに完売、限定版は500部のみで筆者サインと筆者による手書きのエディションナンバー入りの仕様。
さて、販売元の青幻舎のHPで内容のプレビューを見ることができますが、あれもこれも知っているビジュアル。「感電」のMVとアーティスト写真も手がけ、米津玄師さんから「彼のユーモアにはいつだって心が動きます。光を見つけて切り取る力。尊敬しています。」というコメントが寄せられています。
先日ほぼ日で連載されたインタビュー(https://www.1101.com/n/s/yoshiyuki_okuyama)も面白いです。奥山さんの人となりを窺えるようで、このインタビューを読むとひとつひとつの作品の見方も変わるくらい興味深い内容です。

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2年ぶりの木村伊兵衛写真賞

コロナ禍のため2020年度と2021年度発表作品を対象とした第46回木村伊兵衛写真賞のノミネート作家が発表されました。
ノミネートされたのは、顧剣亭(こ・けんりょう)さん、西野壮平さん、福島あつしさん、山元彩香さん、吉田志穂さんの5名。
福島あつしさんの、タイトル通り高齢者専門の弁当配達のアルバイトをし徐々に配達先の独居老人たちを撮影した記録「ぼくは独り暮らしの老人の家に弁当を運ぶ」のインパクトは記憶に新しく、山元彩香さんのアフリカの柔らかな光も印象に残る作品です。
この2年の間に興味深いプロジェクトの作品や、おもしろい発想の作品もたくさんあったのでノミネート作家を5名に絞るというのは大変なことでしょう。
さて、今回の選考委員の中に澤田知子さんがいらっしゃることも興味深いですよね。受賞者の発表は3月中旬です。

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