朝日新聞社が創設した写真賞が木村伊兵衛写真賞、創設年が1975年で今年ちょうど40周年を迎えました。
これを記念して、7月18日から川崎市市民ミュージアムにて、「木村伊兵衛写真賞 40周年記念展」が開催されます。
今年の受賞者の一人、独特の世界観を表現する川島小鳥さんの写真が各メディアで取り上げられ、木村伊兵衛写真賞の知名度が若い人まで浸透していますが、この記念展では第1回から今年の第40回までの受賞作品が展示されるそうです。
展示とともに、これまでの受賞者によるトークイベント、またさらにポートフォリオレビューがあります。
トークイベントは第34回受賞者の浅田政志さん、第5回受賞者の落合光昭さん。
そしてポートフォリオレビューにはミュージアム学芸員に加えて、「アサヒカメラ」の編集長、さらにこれまでの受賞者、瀬戸正人さん、長島有里枝さん、鷹野隆大さんがレビュアーとして行われる、なんとも贅沢なイベントが企画されています。
トークイベントは当日整理券が配布され、ポートフォリオレビューの申し込みは7月18日から開始なのでまだ間に合います。
イベントを含めて、たくさんの刺激を受けること請け合いの写真展。ぜひ出かけてみたいですね。
撮影機材・LED照明の専門店
年: 2015年
『木村伊兵衛写真賞』
木村伊兵衛写真賞は、日本写真界の発展に寄与した第一人者、故・木村伊兵衛の功績を記念すべく、1975年に朝日新聞社によって創立された、今年で40周年の由緒ある写真賞。
これまでホンマタカシや蜷川実花、川内倫子、梅佳代ら名立たる写真家達が受賞していて、「写真界の芥川賞」と言われています。
そんな木村伊兵衛写真賞の歴代受賞作品を展示する「木村伊兵衛写真賞 40周年記念展」が、川崎市市民ミュージアムで開催されます。
期間は2015年7月18日(土)から9月23日(水)まで。
展覧会では第1回受賞者で日本を代表する写真家・北井一夫から第40回までの受賞作品が一堂に会するほか、木村伊兵衛自身の作品を展示し、日本の現代写真の40年間の歩みを見ることができます。
また、浅田政志や岩合光昭を招いたトークイベントや、木村伊兵衛写真賞の選考委員、アサヒカメラ編集者、学芸員による写真の講評会など、様々な関連企画の開催が予定されているというので、イベント情報から目が離せませんね。
写真展のほか、デジタルカメラの入門講座や、巨大カメラをつくるワークショップなども行われるので、写真好きはもちろん、一般の方々でも楽しむことができる幅広いイベントになりそうですね。
海街diary
今年のカンヌ国際映画祭でも話題が絶えなかった、是枝裕和監督の「海街diary」。
原作はマンガ大賞2013受賞の吉田秋生さんのベストセラーコミックで、是枝監督によって映画か決定の時からあらゆる方面で期待の声が上がっていました。
日本で公開され、これからさらに映像、キャスト、ストーリなどについてピックアップされる機会が増えるかもしれませんが、まずその前に目を引くのが、撮影された写真。
撮影監督をも務めた写真家の瀧本幹也さんによって、映画を撮る過程で撮影された写真の美しいこと!
映画にするにあたり、日本の四季を大切に描いてくださいというリクエストが原作者の吉田さんからあったからか、鎌倉を舞台にそこに住む4姉妹の物語がそうさせるのか、是枝監督の「海街diary」は外国人にとって小津安二郎の映画を連想させるようです。
そう聞きながら見る瀧本幹也さんのスチールは、しっとりと美しく、現在でありながらも古き良き日本の美を女優4人の姿とともに捉え、是枝監督とのタッグチームとして、そして写真家のみならず撮影監督としての立ち位置を改めて知らしめるものとなりました。
映画と合わせて写真集が発売、是枝監督の映画を観てから瀧本さんの写真集をみても、写真集をみてから映画を観ても、どちらも相乗効果で味わい深く楽しめそうです。
空気の入れ替え
暑くなってきた!とおもったら、ジトジト、ジメジメとした梅雨が始まります。
気温と湿度の変化で、なかなか体調を整えるのも難しい日本の季節。
梅雨が終わったら気持ちのいい晴れが続きますが、暑さと湿気、さらには室内のクーラー攻めにも体がついていくのが大変です。
さて人間の体もこの気温と湿度に翻弄されますが、実はカメラなど写真機材も同様です。
カメラの保管庫、ドライボックスなどに収納している以外、日本の家屋の中で頻繁に使わない機材を収納しておくと、いざ取り出した時にうっすらカビがはえていたり、なんてことありませんか?
もちろん理想は保管庫やドライボックスの中に収納するのがいいのですが、なかなかそうはいかない場合、押し入れやケース、カメラバックに締まったままになっているカメラやレンズ。ケアは必要です。
これはカメラ機材のみならず、例えば絵画や巻物なども虫の害やカビを防ぐために「虫干し(むしぼし)」ということをします。晴天の日に絵画や書物などを外に出して日陰に干して風を通す作業です。
昔からあるこの虫干し、ようは収納してあるものをいったん外に出し、風を通して湿気をとることですね。これはまさにカメラ機材にも当てはまること。
いったん収納しているカメラやレンズを外に出すことによって、収納場所自体の空気の入れ替えができます。
今日はカラッとしてるな、という日があれば、ちょっとの間でも機材を外に出して空気の入れ替えをしてみてはいかがでしょうか。ただカメラやレンズなどは精密機械、ホコリやチリなどに気をつけて風を通しましょう!
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世界報道写真展2015
毎年オランダで開かれる「世界報道写真コンテスト」。
世界各地からの応募写真から、大賞を含む入賞作品を展示する「世界報道写真展」が6月に日本で開催されます。現在改修工事のため、通年の会場の東京都写真美術館が休館のため、今年はなんと東京芸術劇場で開催されます。
写真展を観に、劇場に足を運ぶとこと自体新鮮です。
日程は6月27日から8月9日までで、東京芸術劇場のギャラリー1にて開催されます。
報道写真ということもあって、普段私たちの生活では見る機会のないアフリカの自然や、動物、民族の写真から、社会問題を題材としたテーマなど、他の写真展よりも伝える、考えさせられる作品が多いのも特徴です。
今年の「世界報道写真大賞」受賞作はロシアのマッズ・ニッセンさんによる、性的少数者の姿を映した作品です。その他にはポートレートの部、日常生活の部、一般ニュースの部からスポーツの部まで、ジャンルに分けて作品を鑑賞できます。
じっくりと時間をかけてみたい写真展ですね。
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インスタグラムのコンテスト
世界で3億人が利用しているというインスタグラム。
今や、SNSのなかでも最も勢いのあるインスタグラムはアーティストやセレブまで愛され、シンプルなのに情報量と訴求力満載で、すでに単なるSNSの枠を突き抜けている感があります。
さて、そんなインスタグラムがゲッティイメージと共同で、フォトコンテストを実施します。
審査員にはTIME紙の写真撮影担当ディレクターのKira Pollack、広告写真で有名なMalin Fezehaなどなど、こちらだけでもコンテスト規模が伺えます。
上位入選者3名が選ばれ、それぞれに1万ドルが授与され、つまりは合計3万ドルのコンテストとなります。インスタグラムのアカウントをもっている人なら誰でも参加費無料で応募でき、審査方法は公開されている既存の作品の質、撮影スキル、表現力で評価されます。
ゲッティイメージのサイトから、エントリー。
個人情報記入から、フォトグラファーとしてのバックグラウンドや自己紹介記入欄もあります。
応募期間はグリニッジ標準時間、6月4日午後11時59分まで受付です。
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IMPOSSIBLE フィルム
もう既に多くの方がご存知かと思いますが、最近頻繁にIMPOSSIBLEフィルムで撮影された作品が発表されているのを目にします。
IMPOSSIBLEフィルムとは2008年にポラロイド社がインスタントフィルムの製造を中止したその年に、そのアナログ写真の世界、文化を守りたいと有志が集まり、同じオランダのフィルム工場でつくられているものです。ただ、それまでのポラロイド社のフィルムと同じマテリアルが入手できないために、ポラロイド社のものとは全く違います。それは乳化剤だったり、遮光の関係や、温度、湿度に弱く退色するなどの性質があるものの、それを逆手に取って、個性的なインスタントフィルムを楽しむ撮影者に好まれ、愛用されています。
主なオフィスは、本社のオランダ、ウイーンオフィス、ニューヨークオフィス、そして東京オフィスがあります。
インスタントフィルムはもちろんそれを撮影するカメラ本体が必要ですが、サイト内ではオンラインショップがあり、インスタントフィルムもカメラも販売されています。
さらに、びっくりするのは、iPhoneで撮影したものをインスタントフィルムに焼き付けるというINSTANT LABを開発、販売。
温故知新、フィルムのあたたかさの懐古、いろいろなきっかけで楽しめ、いまのスタイルと融合しながらオリジナルの楽しみ方までできるインスタントフィルム。ますます人気は広がりそうです。
https://www.the-impossible-project.jp
新宿西口撮影機材ライトグラフィカ
写真家とのワークショップ
IZU PHOTO MUSEUMはその名の通り、伊豆にある写真美術館です。
展示会のほか、ションポジウムやワークショップなど美術館で企画される催しも注目される美術館です。
そのIZU PHOTO MUSEUMにて、写真家を招いたワークショップが5月、6月、8月に開催されます。写真家はテリ・ワイフェンバック氏、長島有里枝氏、鈴木理策氏の三名。
残念ながらどちらも定員に達しているために申し込み受付は終了していますが、とても興味深いのでご紹介します。
テリ・ワイフェンバックさんは昨年は川内倫子さんとの展覧会で話題になったので耳新しい名前ではないでしょう。身近な自然をモチーフに幻想的な風景を写しているアメリカ人写真家。そしてガーリーフォト時代を築いた写真家の代表作家である長島有里枝さん。
そして8月は故郷の熊野の写真など桜や山、日常の風景をハッとするような美しい色で撮影する鈴木理策さん。
そんな面々の写真家とのワークショップ。それはすぐに定員オーバーになりますよね!
写真家それぞれ、テーマ、撮り方、視点が違うので、自分が撮りたい写真または撮っているスタイルに似た写真家のワークショップで得られることは大きいでしょう。また反対に、違うスタイルの写真家のワークショップに参加するのも開眼するものがありそうで刺激的です。
昨今はアーティスト、写真家などとのワークショップもいろいろな場所で開催されています。
アンテナをたてて、貴重な機会をお見逃しなく!
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注目の写真家
会田誠、山口晃、ジュングエンハツシバ等など、現代美術アーティストの作品を取り上げているMIZUMA ART GALLERY。
2月13日から始まる展示は、注目の新人写真家の宇佐美雅浩展です。
宇佐美雅浩さんは「Manda-la」というシリーズを未発表のまま20年以上も続けて、そのライフワークを20年の作品とともに撮影の際のドキュメンタリー記録も上映。
その名の通り仏教絵画の「曼荼羅」のように「Manda-la」シリーズは構図の真中に中心人物を配し、その周りに人やものを並べていくことから付けられたネーミングとのこと。
2011年の東日本大震災を機に、社会的なテーマをより取り入れた傾向になり、福島での撮影作品は、どきっとするようなアイロニーと「曼荼羅」ならぬ圧倒される構図に驚きます。
現在もシリーズは進行中で、ネット上にはこれまでの撮影に要した人材募集などの名残も見受けられるほど、土地とそこでの人々の協力と撮影規模が伺えるようです。
展示会は2月28日まで。
ギャラリーでの展示会は美術館の催しとは違い随分短いものです。初個展となる宇佐美雅浩展、お見逃しなく。
http://mizuma-art.co.jp
新宿西口撮影機材ライトグラフィカ
『ドキュメンタリー映像』
写真家のホンマタカシさんが、北海道・知床半島の斜里町で行われているエゾシカ猟を6年前から取材して完成させた、ドキュメンタリー映画「最初にカケスがやってくる」。
個人的にたいへん興味深い映画ですが、今のところ上映未定だそうで。。。
知床の地で行なわれるエゾシカ猟の模様を収めた映像には、増え続ける野生のシカと高齢化する猟師の現状、猟の様子やシカの解体、流通の現場から人がシカ肉を食べるところまで全て盛り込まれています。
雪で覆われた冬の北の大地と厳しい自然の中で、したたかに生きる野生動物たちの姿も淡々と写し出されます。
ホンマタカシさんは、これまでも野生動物との共存をテーマに作品を発表してきていて、この作品は、2011年に開催された個展で発表された「trails」シリーズの続編。
作品はナレーションやテロップを一切入れない生の映像と音楽で構成され、神秘的な世界観を生み出しています。
「撮りたい」という欲望には色々あるんですね・・・。勉強になります。
ちなみにカケスとは鳥の種類で、エゾシカ猟の痕跡に血肉を求めて野生動物がやってくる、という趣旨。
「trails」の写真は見たことあって、心を揺さぶるものがあったので、映像としても是非見てみたい一作です。